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魯迅のふるさと 紹興

[ 2015-11-12 掲載 ]

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紹興と聞いて日本人がまず思い浮かべるのは紹興酒だろう。だが、紹興は春秋戦国時代に越国の都として栄えて以来2500年の歴史を持つ水の都だ。さらに、数々の小説、随筆で現代中国史に大きな名を残す作家魯迅をはじめとする文人を輩出してきた。お酒以外にも数々の魅力を持つ古都の見どころを紹介する。

アクセス

上海虹橋駅から紹興市の窓口、紹興北駅まで高速鉄道で70分から100分程度で行け、料金は二等席でG列車92.5元、D列車60元。紹興北駅から観光スポットが集まる「魯迅故里」までは約20km。4元の快速バス「BRT1号線」がおすすめ。タクシーは初乗り7元と上海に比べて安く使いやすいが、相乗りが多い。

チケット

観光案内所「魯迅故里遊客中心」が故里近くの庭園「沈園」や紹興ゆかりの偉人宅等12カ所に入場できる2日間有効の「紹興古城旅遊通票」を140元で販売しており、インターネットで前日までに予約すると、110元で購入できる。チケット購入にはパスポートが必要。

魯迅を訪ねる

魯迅故里は紹興を代表する観光名所。文豪が生まれ育ち、作品にもたびたび登場する場所を見ることができる。いずれも入場無料で開放時間午前8時半から午後5時まで。日本語解説もついているので、安心だ。

ところで魯迅って誰?

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(1881~1936)本名周樹人、紹興の有力者の家に生まれる。父が若くして病死し、家が没落する中、医学を学ぶため1902年に日本へ留学。だが、当時の中国の情勢を見て「中国人の精神を改造」することを目指し、文学に移る。1918年に発表した口語体による初の小説「狂人日記」や「阿Q正伝」等当時の社会を鋭く描写した作品が文学史に名を残す。弟周作人(1885~1967)と周建人(1887~1984)もそれぞれ文学者、生物学者として著名。

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清朝の嘉慶年間(1796~1820年)に建てられた周一族の新しい住居。ここを舞台とした小説「故郷」は日本の中学校の教科書に採用されており、習った覚えがある人も多いのでは。魯迅が37歳の時に家を売却し、北京に移った後、「故居」は複数回の改築を経て、03年に全体が再建された。住居のうち魯迅や家族が暮らした部分と、「百草園より三味書屋へ」に登場する中庭「百草園」は売却当時のまま残り、多くの見物客を集めている。

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魯迅が12歳から17歳の時に通い、古典を学んだ場所。教育家徐徳鏡が主宰していた私塾で当時“紹興城内で最高の学び場”と評されたという。「三味」の由来は「経を読む味は稲、高粱が如し、史を読むは肴(肉や魚)が如し、諸子百家は漬物が如し」の意で勉学は生きる上で不可欠と説いている。魯迅の席も残っており、一度遅刻した際に自戒して「早」の一字を机に彫りつけたというエピソードとともに紹介されている。

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魯迅故里に入ってすぐ「遊客中心」の隣にある、魯迅の一族が暮らした屋敷。1740 年ごろ竣工し、54年に増築したと伝わる。白壁に青瓦という典型的な当時の建築様式で建てられ、広さは約3000㎡。居住用の部屋のほか、冠婚葬祭の儀式を執りう広間「徳寿堂」や祖先を祭る祭壇、食物の貯蔵庫などを配している。新しい屋敷(魯迅故居)の完成後も20世紀半ばまで魯迅の親戚が暮らし、その後は学芸施設として利用されていた。

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「在紹興1881-1897」「在南京、日本、紹興1898-1912」「1912-1917在北京、厦門、広州」「在上海1927-1936」の4時代に分けて魯迅自筆の手紙や原稿等を展示。浙江省で最も古い人物記念館という。代表作の生原稿や初出の雑誌、日本留学中の写真などが興味深い。生涯に使ったペンネーム124通りがずらりと一覧になっているのも見ものだ。入り口近くには東北大学留学時の魯迅の恩師で「藤野先生」に詳しく描かれている医師藤野厳九郎の像が立つ。

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小説「孔乙己」の舞台となった1894年創業の酒屋。今はホテルや土産物店を併設し、観光客が詰めかける。レジにて100元のプリペイドカードを購入し、小説のように茴香豆(10元/150g)を肴に自家ブランドの紹興酒(24元、34元/250ml)を傾けよう。チャージ分は払い戻し可。塩味の主張が強い地元料理は酒と互いに引き立て合う。

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食べる

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臭豆腐

豆腐を醤油、辣椒油等を合わせた汁に漬けこみ、発酵させたもの。揚げて食べることが多い。その名の通りにおいが強いものの、癖になる塩味。街中至る所で売っている。

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紹興酒に砂糖を加え、温かいミルクティーを注いだもの。ラムレーズンのような香りと味で酔いが回る。紹興酒の新しい飲み方としてありだと思う。

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特産の植物「木蓮豆腐」の粉を水、砂糖と混ぜて濾し、固めた菓子。豆腐とは関係ない。わらびもちのような食感と淡白な甘さが暑い日や油料理の後によさそうだ。

中国黄酒博物館

紹興酒をはじめ黄酒にまつわる文化を紹介する07年設立の博物館。紹興を中心とする中国の酒造りの歴史などを紹介し、紹興酒手作りの見学、酒瓶絵付け体験など参加型企画も多い。入場料60元は30元に割引中で、2種類の利き酒とおみやげ10元引券付き。ちなみに市内には入場無料の「紹興黄酒館」と「黄酒館」もある。

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紹興酒とは

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もち米を原料に醸造する酒「黄酒」の一つ。紹興近くの「鑑湖」の水を使う。今は近代設備を使うものの、製造法は昔から変わらずもち米を蒸し、発酵させた後で小さな「かめ」に移し、熟成させる。博物館地下にある1万㎡の酒蔵には1万を超すかめが並び、最も古い酒として88年熟成の物が展示されている。

 

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カラスのようにまっ黒な外観と雨よけの「篷(とま)」からこの名がある足こぎ船。自動車が普及するまで不可欠な交通手段だった。今でも魯迅故里などを巡る船の発着場が5カ所ある。1隻に乗客3人まで同乗でき、1人60元から。

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南宋の豪商沈氏が建造した市内に残る宋代唯一の庭園という。南宋最高の詩人と評される陸游が「一懐の愁緒 幾年か離索せし」と悲恋を書きつけたという伝説の「釵頭鳳(さいとうほう)」の詩碑が立つ。開放時間午前8時から午後5時で入場料40元。

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南宋の時代に建造されたという、きれいな「八」の字型の橋脚が見事な橋。下には世界文化遺産の「京杭大運河」が流れ、周囲は八字橋歴史街区とされている。地元の人が川で洗濯する姿が見られるのどかな一帯だ。

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